旧正月(テト)明けのベトナム人材市場はどうなのか?

[1]なぜ、テト前後で退職するのか。その人材の特性とは?

(1月13日開催の「離職対策セミナー」より)

ベトナム人スタッフは様々な理由で退職します。ただし、テト前後で退職する理由は比較的クリアで、次の3つの条件が重なるためです。

①年1回のボーナスが支給される(ボーナスをもらうまでは頑張ろうという意欲はある)
→ 日本では、通常6月と12月の二回に分散されている。
②年1回の長期休暇で、実家に帰り家族会議を行う(親が退職を勧める場合もある)
→ 日本では、GW、お盆休み、正月休みなどに分散されている。
③年1回の昇給・昇格直後(昇給・昇格に対する不満や、面談に失望して退職意思を固める)
→ 日本も年1回だが、通常3月頃であり、①や②と重ならない。

つまり、日本では、ベトナムのテトのように、ここぞとばかりに離職シーズンとなるような時期がありません。

テトに集中する離職ラッシュにより、日本人経営層は凄まじい精神的ストレスい襲われます。

・テト前1週間頃から集中力が低下して業務にメリハリがなくなってくる。
・テト期間中、日本は営業日であり、一時帰国中も本社で仕事をするなど、落ち着かない。
・テト後1週間頃までは集中力が戻らないので業務にメリハリがない。
・来期の事業計画を策定している最中に、中堅社員が次々と退職を申し出る。

その結果→ イライラがピークに!

重要なスタッフの離職はできるだけ避けたいところ。
上述の当社「離職対策セミナー」では、2月に集中させない「2・6・10作戦」(6月や10月にもイベントを作る)や、実家で行われる家族会議対策のための「家族懐柔作戦」(テトギフトを使って両親にアピール)について詳説をさせていただきました。ただし、これらは気軽に辞めてしまうことへの対策であって、 辞めると心に決めたスタッフを引き留めるのは困難です。

いずれにせよ、テト前後で退職する人材は、次のような心理状態にあります。
・ボーナスをもらってから辞めようと思っていて、いよいよ支給されたので決心が固まった
・テトで実家に帰った際の家族会議で、両親にも転職に意向を伝え了解を得ている。
・来年のテトの際に、転職先でボーナスを100%もらうために、できるだけ早く就職したい。

「感情的な行動をせず計画的に進められる人」と解釈すれば、本来は会社にとって重要な存在であり、「仕事への思い入れがなくても卒なく会社にいられる世渡り上手な人」と解釈すれば、ムードメーカーとしての役割も期待できる人材といえます。

一方で、ボーナスをもらわず衝動的に辞める社員がいる場合は、社内に大きな問題がないかチェックしなければいけません。ボーナス前に退職する社員がいれば、ボーナス後にさらに退職者が増える可能性があるためです。

退職の決定打と優先順位は、個々人で多少の違いはあるにしても、おおむね以下の通りです。
待遇や賃金だけに気を配りすぎていないか、スキルアップができる風土になっているか、社員同士での諍いなど、辞めると決める前にアンテナを立てて前兆に注意し、可能な対策を打っておかれることをお勧めします。

【退職の決定打】 [人間関係]>[仕事内容]>[賃金待遇] ※左ほど重要

[2] 採用面接では何に注意したらよいのか。すべき質問は?

就業先を求める人の現在の心理状態はとても理解しやすいものです。

①現在就業していて、良い会社があれば転職したい
転職先を決めてから辞めるという、常識的な方と解釈できます。
就業中で、あまりプレッシャーがかかっておらず、リラックスした面接になります。
したがって、退職理由を明確に回答せず、コミュニケーションレベルで問題があると要注意です。
前職を2年以内の短期で退職したか、同じ職種での応募かなどがチェックポイント・質問項目です。

②現在就業していて、辞めたくて仕方がない場合
精神的プレッシャーが高く、転職先への関心は薄いです。そのような気持ちで入社されても、短期間で辞めてしまいます。
会社や仕事の内容を説明しないのに質問がないとか、希望給与よりも低く承諾するようなケースは要注意です。
転職することで「どうしても辞めたい」プレッシャーから解放されるため、勤務開始後に希望給与を満たす再転職先を探し始めるリスクがあります。

③数カ月就業していない
離職後2か月程度は、無職でもあまりプレッシャーがかかっていません。上記①と同じリラックスした面接になります。
離職後4か月以上経過してくると、例②と同じような心理状態になります。

■福利厚生や離職対策の一環として「教育研修」のご案内
日系企業に勤めるベトナム人が、日本人とのコミュニケーションミスから退職を考えるケースも少なくありません。日系企業に就職するベトナム人は、「自分の語学力が向上するか」「尊敬できる上司かどうか」「ベトナム企業よりも高い賃金」を期待しています。いざ入社してみると、予想と違うことも多々ありますが、日本人は忙しくて日系企業のルールや習慣について細かく説明する時間がありません。

そこで当社では、ベトナム人向けに教育研修を実施しています。
ぜひこの機会に、離職対策や福利厚生の一環として、ご参加をご検討ください。

3月開催の研修をご案内いたします。

《ハノイ開催》
名称:「日本文化理解講座」
内容:日系企業で働くベトナム人向けに、日本人の考え方をわかりやすくレクチャー。仕事をしやすくします。
日時:2018年3月23日(金)8:30~16:30
費用:2,100,000VND(+税)

《ホーチミン開催》
名称:「チームビルディングEQ研修」
内容:同僚・上司・部下とともに組織で行動して会社を良くしていくことを学んでいただきます。
日時:2018年3月30日(金)8:30~16:30
費用:2,95,000VND(+税)
※EQ適性検査受検付

今後とも、廣済堂グループをよろしくお願いいたします。

2018年3月13日
堀岡宏至

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